謹啓
日頃は数ある茶舗の中から当店をお選びいただき、御愛飲賜り厚く御礼申し上げます。
さて、元来農作物である「茶」は、その年の出来栄えによる品質の相違が価格に反映されて参りました。それ故、同じ商品であっても、その年の出来、不出来により飲んだ時の印象が違い、お客様から「今年の新茶はうまい」「今年の新茶は今一つ」という感想を聞かせて頂く事もございます。とは言え、そのようなお声が上がらないように毎年変わらぬものをお届けするのが茶商としての務めと心得、仕入れの段階からお茶をよく審査し、品質及び価格の維持に努力を重ねて参りました。
今般の茶業界を取り巻く状況はコロナ禍以降大きく変化しており、宇治茶業界でも日本の経済界、生産現場に起こっている現状をそのまま反映し、その基盤を大きく揺るがせています。茶園の管理費用、茶製造や仕上げ加工(荒茶を製品にする作業や茶臼で抹茶に挽く作業)に係る光熱費をはじめとする様々な費用、茶を包装する資材等、あらゆる経費の値上げが続いております。
このような状況下に於ける私たちの在り方について模索を重ねてまいりましたが、やはり飲んでおいしいと喜ばれる品質のものをお届けすることを第一と考え、やむなく値上げをお願いする事となりました。これからも品質本位の宇治茶作りに精進致す所存でございます。引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
謹白
この度、4月1日から値上げを実施いたします。
今回の値上げにつきましては昭和58年(1983年)に制定してから約40年目の価格訂正でございます。何卒諸事情をご賢察のうえご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。